太陽光パネルのリサイクル制度、段階的強化へ 2030年代の大量廃棄に備え

経済産業省と環境省は1月23日、太陽光パネルのリサイクル制度に関する新たな法制度案を公表した。2030年代後半以降に年間最大50万トン程度と見込まれる使用済み太陽光パネルの大量排出に備え、段階的にリサイクル規制を強化し、将来的にはリサイクルを義務付ける方針だ。

段階的な規制強化で経済合理性を確保

現行制度では太陽光パネルのリサイクルは義務付けられておらず、最終処分場の残余容量を圧迫する懸念がある。また、重量の約6割を占めるガラスの資源循環が進んでいないことや、埋立処分がリサイクルより安価であることから、十分な再資源化が行われていない実態がある。

(出所:環境省/経済産業省)

(出所:環境省/経済産業省)

新制度案では、まず効率的にリサイクルが実施可能な多量の事業用太陽電池廃棄物の排出者等から規制を段階的に強化する。将来的には太陽光パネルの幅広い排出者等についてリサイクルを義務付けることを目指す。

使用済み太陽光パネルのリサイクルに向けた制度設計の概要

今回の制度設計の概要は、以下の通り。

基本方針の策定

国が基本方針を策定し、各主体の役割、リサイクル目標、施設整備の促進、費用低減・技術開発等の施策の方向性を明示する。

(出所:環境省/経済産業省)

(出所:環境省/経済産業省)

多量排出者への規制措置

収益事業に使用した使用済み太陽光パネルの排出等をしようとする事業者に対し、国が判断基準を定め、指導・助言の対象とする。

さらに多量の使用済み太陽光パネルの排出等をしようとする事業者に対しては、排出実施計画の事前届出義務、国による勧告・命令を措置することで、判断基準に基づくリサイクルの取組を法的に義務付ける。

届出後、原則30日間が経過するまでは使用済み太陽光パネルの排出等を行えないものとし、国が届出内容を審査する。判断基準に照らして著しく不十分な場合には、排出実施計画の変更等を勧告・命令する。

リサイクル事業者への支援措置

太陽光パネルを収集運搬し、一定水準以上のリサイクル(アルミやガラスの一定割合以上のリサイクル)ができる事業者を国が認定する制度を設ける。

認定事業者には、都道府県ごとの廃棄物処理法の許可を不要とする特例措置、保管基準の特例措置等を講じる。産業廃棄物処理事業振興財団は、認定事業者の取組に関する債務保証・助成金の交付の業務を行うことができる。

製造業者等への措置

太陽光パネルの製造業者、輸入業者及び販売業者に対し、環境配慮設計の実施等の責務や、リサイクルに必要な情報提供(パネルの含有物質情報)を求める。

資源有効利用促進法の指定再利用促進製品に太陽光パネルを指定し、判断基準に基づいた環境配慮設計の取組を推進する。判断基準では原材料の工夫、含有物質情報の提供等について定め、国による必要な場合の指導・助言、著しく取組が不十分な場合の勧告・命令等の法的措置を講じる。

制度の見直し

今後の使用済み太陽光パネルの排出に係る情勢の変化や制度の施行状況等を踏まえ、2030年代後半以降の大量廃棄に備えて可能な限り多くの太陽光パネルのリサイクルが行われるよう、必要に応じて制度の見直しを行う。

見直しに当たり勘案すべき事項としては、使用済み太陽光パネルの排出量の見込み、埋立処分場における廃棄物の処理量の見込み、太陽光発電を行う事業者によるリサイクルの選択の状況、中間処理業者による単純破砕・リサイクルの実施の状況、リサイクルに要する費用の推移、リサイクル技術の開発動向等が想定される。

リサイクル費用低減に向けた取り組みは

一方で、課題となるリサイクル費用逓減に向けては、下記のように取り組んでいく方針だ。

リサイクル技術の開発支援

2025年度に分離処理コストのさらなる低減(2029年度に2,000円/kW以下)を目指した技術開発支援を実施予定である。NEDOの技術開発では、2018年度に分解処理コスト約5,000円/kW以下を達成し、2024年度には大量排出の前提条件の下、分解処理コスト約3,000円/kW以下、資源回収率80%以上を見込む分離技術の開発を完了した。

リサイクル設備の導入支援

令和7年度補正予算(30億円の内数)、令和8年度予算案(約73億円の内数)において、省CO2型の再エネ関連製品等リサイクル高度化設備への補助事業を実施する。

現時点で全国の使用済み太陽光パネル専用のリサイクル設備の処理能力は約15万トン/年であり、排出ピーク(約50万トン)に向けて設備の導入促進が必要である。

再生材の売却益向上

令和7年度補正予算(1億円)及び令和8年度予算案(36億円の内数)において、使用済み太陽光パネルの重量の約6割を占めるガラスの水平リサイクルの技術実証を実施する。

(出所:環境省/経済産業省)

(出所:環境省/経済産業省)

収集運搬の効率化

令和8年度予算案において、収集運搬効率化の実証(10億円の内数)と保管施設の導入支援(60億円の内数)の経費を計上している。

パネルの不適正処理・不法投棄対策

太陽光発電設備は、現在も廃棄物処理法に基づく適正処理が義務付けられている。関係行政機関が連携して廃棄物処理法を遵守するよう適切に指導し、不適正処理・不法投棄には厳格に対応する。

FIT/FIP制度においては、2022年7月から太陽光発電設備の廃棄等費用について、調達期間等の後半10年間において毎月の買取価格等から差し引く形での外部積立てを求める制度(廃棄等費用積立制度)を措置している。

非FIT/非FIPの太陽光発電設備については、太陽光発電設備特有の放置の実態やそれが公益に与える影響、規制的措置を実施する場合に太陽光発電事業者に生じる事業制約の度合い等に鑑みながら、引き続き措置の在り方を検討する。

制度案への評価と今後の課題

1月23日に開催された中央環境審議会・産業構造審議会合同会議では、委員から制度案に対して概ね賛同する意見が示された。

一方で、判断基準の具体的内容、多量排出者の対象範囲、非FIT/非FIP事業への対応、リサイクル費用と埋立処分費用の差額が大きい現状での経済合理性の確保、製造業者等への実効的な措置の在り方等について、今後さらなる検討が必要との指摘があった。

環境大臣は2025年8月の閣議後記者会見で、太陽光パネルの製造業者等にリサイクル費用の負担を求める原案について、現時点では法制的な観点から合理的な説明が困難との整理に至ったことを明らかにしている。今回の制度案は、この法制的課題を踏まえ、排出者を中心とした規制の枠組みに見直したものである。

政府は、公布から1年半以内の施行を予定しており、今後、関係法令の整備を進める方針である。

記事出所: 『環境ビジネスオンライン』 2026年2月2日出典

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