東京ガスら、住宅の窓や壁にフィルム型ペロブスカイト設置 都実証事業の一環

東京ガス(東京都港区)は12月16日、飯田グループホールディングス(同・武蔵野市)、マクニカ(神奈川県横浜市)、麗光(京都府京都市)と共同で取り組む、住宅施設におけるフィルム型ペロブスカイト太陽電池の導入実証が、東京都の事業に採択されたと発表した。建物の壁面やバルコニーに次世代太陽電池を設置し、施工性・発電性能を評価する。

場所ごとに発電性能や施工方法の信頼性を評価

都は日本生まれの次世代太陽電池を「Airソーラー」と名付け、普及拡大を図っている。画像はイメージです

都は日本生まれの次世代太陽電池を「Airソーラー」と名付け、普及拡大を図っている。画像はイメージです

同実証は、2026年1月から12月までの約1年間、飯田GHDが提供する日野市のモデルハウスを使って行う。マクニカと麗光が開発・製造するAirソーラーを、東京ガスが開発する施工方法にて、垂直壁面(擬似壁面)・バルコニー・室内壁・窓に設置。場所ごとの発電性能の評価、施工方法の信頼性を評価する。窓での検証では、接着工法・窓枠固定工法を検証するという。

取り組みにおいて、全体統括や現地施工を担う東京ガスは、これまでの太陽光発電に関する研究や事業で培ってきた施工・解析技術を実証に転用する。

マクニカは、これまでのペロブスカイト太陽電池に関する実証事業で培った豊富なノウハウを活かし、技術力を提供 。飯田GHDは、実証フィールド提供を、麗光はAirソーラー製造を担う。

実証イメージ(出所:東京ガス)

実証イメージ(出所:東京ガス)

次世代太陽電池の実証費用を助成する「Airソーラー社会実装推進事業」

「第7次エネルギー基本計画」では、再エネの主力電源化と最大限の導入が掲げられ、2040年の電源構成に占める太陽光発電の割合を23~29%とする方針が示された。

都は、2035年までに都内に太陽光発電設備を350万キロワット導入するという政策目標を設定。電力のHTT「(H)へらす・(T)つくる・(T)ためる」をキーワードに、脱炭素社会の実現とエネルギーの安定確保に向けた取り組みを推進する。その1つとして、「薄く、軽く、曲がる」という特徴を持った日本生まれの太陽電池を「Airソーラー」と命名し、実用化を目指す開発事業者に対し実証費用の一部を助成する「Airソーラー社会実装推進事業」を実施している。今回の東京ガスの取り組みもこの一環である。

同推進事業は、Airソーラーの早期実用化に向け、開発事業者が実施する実証事業の経費の一部を助成することで、社会実装の加速化を図ることが目的。

要件として、都の地域特性を踏まえ、都内でのAirソーラーの普及に向けた課題抽出及び効果検証を行うものであることや助成対象事業の成果を都内で活用することなどが求められる。助成額は最大4000万円(予算は1億2000万円)で、申請総額が予算額に達した時点で申し込みは終了となる。

東京ガスらは今後、同実証を通じて、住宅におけるAirソーラーの社会実装を加速し、日本政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」の実現に貢献していきたい考えだ。

記事出所: 『環境ビジネスオンライン』 2025年12月18日出典

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