高市首相のエネルギー政策、内閣基本方針から読み解く 「脱炭素」動向も注目

高市早苗首相のエネルギー脱炭素・政策の行方が注目される(出所:首相官邸)
高市早苗新首相の自民・維新内閣が報道各社の世論調査で70%前後の高い支持率を獲得。危惧された日米首脳会談や各種国際会議も乗り切り、順調なスタートを切った。ただ、脱炭素、エネルギー政策など環境分野に関する方向性が見えにくい。高市内閣は今後どのような政策を打ち出すのか。内閣基本方針から読み解く。
強い経済、暮らしを守る、外交防衛力の強化
2025年10月21日に閣議決定された基本方針では、今後推し進める政策の3本柱が示されている。1.強い経済の実現 2.地方を伸ばし、暮らしを守る 3.外交力と防衛力の強化だ。
1.では「「責任ある積極財政」の考え方の下、戦略的に財政出動を行うことにより、暮らしの安全・安心を確保するとともに、所得を向上させ、消費マインドを改善し、税収を増加させる。そのため、物価高対策、経済安全保障の強化、食料安全保障、エネルギー・資源安全保障の確立、国土強靱化、サイバーセキュリティ対策の強化、健康医療安全保障の構築、人材総活躍の環境づくりに取り組む」としている。
2.では「地方の「暮らし」と「安全」を守るため、地域ごとの産業クラスターの形成、地方のDX化の推進、地場産業の強化、地域公共交通の維持に取り組む」。また、「外国人問題に関する司令塔機能を強化し、総合的な対策を推進する」とし、外国人問題にも焦点を当てている。
3.では「日米同盟を基軸に、自由で開かれたインド太平洋というビジョンの下、同志国やグローバルサウス諸国との外交・防衛・経済等の多角的な連携を拡大する。インテリジェンス機能の強化に取り組む」。また、防衛力の抜本的強化を「我が国の主体的判断」において図るとする。
注目されるエネルギー対策では、自民党・菅政権以来掲げてきた再エネ普及第一の政策から、再エネ導入を進めつつも「国産エネルギー」を重視・選別する政策にシフトする可能性もありそうだ。

高市内閣はエネルギー政策と脱炭素の両立という難題に取り組む(出所:首相官邸)
メガソーラーは規制検討
高市首相は9月総裁選への政策発表で、「釧路湿原のような自然環境に太陽光パネル(外国製)を敷き詰めるのはおかしい。歪んだ補助金制度の結果だ」と批判し、見直しを示唆している。10月20日に交わした自民維新の連立政権合意書にも「26年通常国会において、大規模太陽光発電所(メガソーラー)を法的に規制する施策を実行する」と盛り込まれた。
原子力やペロブスカイトなど、国産エネルギーを重視
また、10月24日の所信表明演説では「国民生活および国内産業を持続させ、さらに立地競争力を強化していくために、エネルギーの安定的で安価な供給が不可欠です」とした上で、「特に原子力やペロブスカイト太陽電池をはじめとする国産エネルギーは重要です」と述べている。その他、GX予算を用いながら、脱炭素電源を最大限活用するとともに、光電融合技術による省エネや燃料転換を進め、さらに次世代革新炉やフュージョンエネルギーの早期の社会実装を目差すとしている。
記事出所: 『環境ビジネスオンライン』 2025年11月4日出典


