ハリマ化成、食品包材の紙用にバイオマス素材の水系バリアコート剤を開発

ハリマ化成グループ(東京都中央区)は10月9日、耐水・耐油性、耐熱性、防湿性などの機能を持ちながら環境負荷も低減する紙素材用水系バリアコート剤を開発したと発表した。食品包装容器の紙に施されるプラスチックフィルム加工の代替として塗工できる。

松の樹液から抽出したバイオマス原料 安全性は欧州の基準にも対応

同社が開発した水系バリアコート剤を使用した食品包装紙の例(出所:ハリマ化成グループ)

同社が開発した水系バリアコート剤を使用した食品包装紙の例(出所:ハリマ化成グループ)

バリアコート剤は、食品包装容器などに使用する紙に塗工することで、耐水性などのバリア性が付加される。

同社が開発したバリアコート剤は、松の樹液から得られるロジンをベースとしたバイオマス由来成分が最大で約85%含まれる。また、水系素材で溶剤を使用しないため、製造時の作業環境や人体への負担を低減する。

さらに、食品包装材への適用で高い安全性が求められる「間接食品添加物」として、米国FDA、ドイツBfR、スイス条例、EUプラスチック規則、 国内のPL制度など、各国の法規制に対応した。

今後も増加するプラスチックフィルム代替の紙製品

包材分野では、プラスチックの代替素材としてバイオマス素材の活用が進んでいる。バイオマス素材の中でも、木材を原料とする「紙」は、樹木が成長過程で二酸化炭素を吸収し、植林により繰り返し使用できるという点で、カーボンニュートラルに貢献する素材として注目されている。フィルム代替の紙製品の国内市場は、2027年に35億円(2023年比75.0%増)に達する予測を示した民間調査結果もあるという。

その一方で、紙製の食品包装容器のほとんどがプラスチックフィルム加工が施されているため、リサイクルしにくく環境負荷が高いことが課題だった。バリアコート剤を使用することで、プラスチックフィルムでのラミネート処理が不要となり、包装材料のリサイクル性の向上に貢献する。

記事出所: 『環境ビジネスオンライン』 2025年10月14日出典

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です