レゾナックの水素混焼ガスタービン導入など3事業、低排出への転換支援に採択

レゾナック(東京都港区)は10月7日、川崎事業所(神奈川県川崎市)の水素混焼ガスタービン導入事業が、経済産業省の「排出削減が困難な産業におけるエネルギー・製造プロセス転換支援事業」に採択されたと発表した。

同事業の事務局は同日、2025年度事業II(化学・紙パルプ・セメントなど)において、レゾナックのほか、大王製紙(東京都千代田区)と大阪ソーダ(大阪府大阪市)の事業を選出したと公表した。

CO2排出削減が困難な分野でのエネルギー・製造プロセス転換を支援

画像はイメージです

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「排出削減が困難な産業におけるエネルギー・製造プロセス転換支援事業」は、GX経済移行債を活用した政府による支援事業の1つ。鉄、化学、紙パルプ、セメントなどの排出削減が困難な産業において、エネルギー・製造プロセスなどの転換を図り、排出量削減と産業競争力強化につなげることを目的としている。

多くのCO2排出を伴う従来の製造プロセスから、新たな低排出な製造プロセスへ転換する設備投資などと、石炭などを燃料とする自家発電設備・ボイラーなどにおいて、大幅な排出削減に資する燃料への転換を支援する。

事業I(鉄鋼)と事業II(化学・紙パルプ・セメントなど)について公募を実施しており、今回事業IIの採択を決定、公表した。なお事業I(鉄鋼)については5月、日本製鉄(東京都千代田区)の2つのカーボンニュートラルに向けた鉄源プロセス転換事業を採択している。

採択3事業の概要

今回、採択された事業の概要は次の通り。

事業者名主な事業実施場所事業内容投資規模
(うち支援上限額)
大王製紙三島工場(愛媛県四国中央市)高塩素燃料に対応可能な発電設備新設による石炭ボイラー停止271.51億円
(80.16億円)
レゾナック川崎事業所(神奈川県川崎市)川崎事業所での水素発電ガスタービン導入事業217.24億円
(70.83億円)
大阪ソーダ岡山・水島工場(岡山県倉敷市)バイオマス原料と非化石電力を活用したエピクロルヒドリン製造プロセスの低炭素化転換事業30.13億円
(9.70億円)

レゾナック、自家発電設備を都市ガス・水素へ燃料転換

レゾナックの主要拠点の一つである川崎事業所では、上下水道の水処理における殺菌・消毒用途の次亜塩素酸ソーダや火力発電所の脱硝用途であるアンモニアなど、生活・社会インフラを支える多様な製品を製造している。

同社は、今回の採択を受け、川崎事業所におけるガスタービン新設に係る投資実行を決定した。現在、川崎事業所では、石油コークスを主燃料とした自家発電設備(ボイラ・タービン)2系統を有する。このうち1系統を廃止し、この事業により都市ガス・水素混焼ガスタービンへ設備更新を行い、2030年第1四半期の運転開始を目指す。

このガスタービン出力は30〜40MW級。一般家庭の消費電力量(kWh)に換算すると約5万4000世帯分に相当し、川崎事業所の製造工程で使用する電力の約40%を担う規模となる。

同社は、「2050年カーボンニュートラル」の実現に向け、2030年GHG排出量(スコープ1+2)を2013年比30%削減する目標を長期ビジョンで掲げている。国内GHG排出量の約50%を占める最大排出拠点である川崎事業所の燃料転換は必要不可欠で、今回の事業により、25.4万t-CO2のGHG排出削減(Scope1削減量)を見込んでいる。現在の事業スキームにおける外部売電に伴う燃料使用分も含めると、削減量の総計は51.6万t-CO2/年になると試算している。

今回の燃料転換により、これら製品の製造に使用する電力を脱炭素化し、環境性能が求められる市場における競争力を強化していく。さらに、川崎事業所で発電した電力の一部は、同社のコア成長事業である半導体材料関連の、関東地区を中心とした製造拠点へ供給し、国内成長産業における競争力の強化を図る。

また、同社は、川崎カーボンニュートラルコンビナート形成推進協議会にも参画しており、他の企業などとの連携を深めながら、この事業を着実に推進し、川崎臨海部におけるカーボンニュートラルコンビナートの構築に貢献していく。

川崎事業所の自家発電設備(現在)(出所:レゾナック)

川崎事業所の自家発電設備(現在)(出所:レゾナック)

大王製紙グループ、高塩素燃料に対応可能な発電設備へ更新

大王製紙グループは、2050年度までのカーボンニュートラル実現を目指し、省エネの推進やバイオマス燃料の活用など、環境配慮の取り組みを進めている。2030年度までの移行期には、生産活動における化石由来CO2排出量を2013年度比で46%、GHG排出量を20%削減することを目標に掲げている。今回の事業では、その一環として、三島工場に高塩素燃料に対応可能な発電設備を建設する予定。この発電設備は、塩素濃度の高い廃棄物や地域の一般廃棄物(可燃ごみ)を、好気性発酵乾燥方式(トンネルコンポスト方式)で処理した後に燃料化したものを利活用し、地域と連携したCO2削減に取り組む考え。

大阪ソーダ、主原料をバイオ由来へ転換 非化石電力へ切り替え

大阪ソーダは、2030年にGHG排出量を2013年度比で30%削減するという目標を掲げるとともに2050年カーボンニュートラルへの貢献を目指している。その達成に向けて、製造プロセス改良、省エネ化、原料転換、再エネなどの非化石電力の利用推進によるGHG排出量削減に取り組んでいる。今後抜本的な削減の実行が課題となっている。

この課題解決に向けた重要施策として、今回の事業ではエピクロルヒドリンの製造工程において主原料を従来の化石由来からバイオ由来へ転換するとともに、プロセスを改良し、省エネルギー化を図る。さらに、製造に必要な電力を再エネなど非化石電力へと切り替えることで製造工程全体のライフサイクルにおけるGHG排出量の50%以上を削減する計画だ。エピクロルヒドリンは、主にエポキシ樹脂のほか、合成グリセリン、塗料・接着剤など工業製品の原料として使われている。

記事出所: 『環境ビジネスオンライン』 2025年10月9日出典

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