石油資源開発ら、北海道苫小牧市に出力13MWメガソーラー建設へ

太陽光発電開発を通じて、苫小牧市のゼロカーボンシティ実現に貢献。画像はイメージです
石油資源開発(JAPEX/東京都千代田区)は9月16日、日本政策投資銀行(DBJ/同)、苫小牧港開発(TMK/北海道苫小牧市)とともに、北海道苫小牧市で出力13MWの太陽光発電所を建設すると明かした。工事は9月着工、運転開始は2028年8月の予定。
バーチャルPPAを活用し、環境価値を製鋼メーカーに供給
開発推進にあたり、石油資源開発らは2024年、苫小牧TJDソーラー合同会社(TJD/東京都千代田区)を設立した。TJDは今後、TMKが所有する苫小牧市の明野北工業団地内で太陽光発電所を開発・運営し、発電した再エネ電力由来の非化石価値(環境価値)を、清水鋼鐵(千葉県浦安市)保有の「苫小牧製鋼所」に供給する。また、この取り組みを通じて、苫小牧市が掲げる「ゼロカーボンシティ」実現を後押しする。
製鉄所の年間電力約30%相当のCO2削減へ
清水鋼鐵への環境価値提供では、バーチャルPPAの仕組みが活用される。JAPEXは同日、清水鋼鐵とオフサイトPPAを締結。清水鋼鐵は、電炉を含む苫小牧製鋼所全体の年間電力消費量約30%分のCO2を削減できる見込みだ。
JAPEXが特定卸供給事業者としてバーチャルPPAに取り組むのは、今回が初めて。

発電所の位置図(出所:石油資源開発)
苫小牧エリアでCCS事業、CO2分離・回収設備の検討
JAPEXグループは、2021年5月に脱炭素化戦略を策定。2050年ネットゼロに貢献する総合エネルギー企業として、太陽光発電やCCS事業などに注力している。2024年度には、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の「先進的CCS事業」に伴う設計作業を受託。IHI(東京都江東区)が中心となり、苫小牧エリアの苫東厚真発電所において、CO2の分離・回収に関する検証の準備を進めている。

「苫東厚真発電所」(出所:PIXTA)
TMKは、苫小牧市によるゼロカーボン目標を念頭に、脱炭素化への取り組みに注力し、これまでに苫小牧西港フェリーターミナルビル改修に伴う省エネ化や社用地での脱炭素エネルギー確保、社有車・社用機器の低炭素化などを実施している。
DBJは、再エネ分野に特化した支援事業を展開しており、今回のプロジェクトにおいても、特定投資業務の1つ「グリーン投資促進ファンド」を活用し、資金面から事業をサポートする。
記事出所: 『環境ビジネスオンライン』 2025年9月19日出典